2022年12月12日月曜日

萩のまちと文学⑯ 永松 定

 リーズ「萩のまちと文学」第16回目は、この萩の地で戦中、戦後の混乱期を過ごした作家・英文学者の永松定(ながまつ さだむ)をご紹介します。

 

明治37年(1904)、熊本県に生まれ、成人するまで熊本の玉名で過ごした永松は、22歳で東京大学文学部に入学、相本太郎ら10人と同人雑誌『風車』を創刊します。また、昭和8年(1933)には伊藤整らと、ジョイスの『ユリシーズ』を共訳するなど充実した時期を過ごしますが、昭和12年(1937)に強烈な神経衰弱に陥り、郷里の母の大病などで精神的窮地に追い込まれます。そんな永松は昭和15年(1940)、心機一転、知人の紹介で山口市の中学校で英語教師として教鞭をとることになります。そして昭和17年(1942)に山口県立萩中学校(現在の山口県立萩高等学校)に転任し、昭和24年までの7年間をこの萩のまちで過ごしました。

 

「山陰地方の秋は早い。十月の中頃、萩駅近くの通称天神さん(椿町金谷にある金谷神社、また金谷天神のこと)の祭りというのがある。その頃からもうバラバラと降り出す時雨が霙始めるのだ。昼間カラリと晴れ渡った空いちめんに、急に、黒雲が被いかぶさるかと見る間に、早やパラパラと霙が落ちかかってくる。するとまた忽ち晴れて、黒い雲の晴れ間から、キラキラと、実に美しい太陽の光線が輝き出す。ところがほんの河向こうの方はまだ時雨が降っていると言った有様なのだ。こういう風景は南国育ちの私にとっては珍しかったが、もうこの頃から、早くも萩の人たちは炬燵をしかけてもぐり込み、酒となるのだ。」「萩の独楽廻し」(『永松定作品集』五月書房より)



永松は萩の秋の気候をこのように述べています。先月、コロナ禍で3年ぶりに開催された天神まつりの日も降ったり、晴れたりのはっきりしない天気でしたが、永松の観察力と今も変わらない萩のまちの気候に言い得て妙だと頷きました。

 

南片河町の借家に住む永松夫妻は、ひょんなことから斜め向かいの隣人、香具師で萩の独楽廻しとして有名な小田森仁一郎と酒友達になります。


「私はどうにかして彼の独楽を廻すところを、この眼でみたいものだ、と思った。(中略)そこで、私はこの正月は是非、小田森仁一郎の独楽をわが家で見たいものと決心した。それには先ず酒を集めるのが、第一の必要事であった。正月の二日に私の家で小田森仁一郎が独楽廻しの実演をしてみせるという話がすぐさま伝わって、その日になると、朝から近所近辺の女子供がそれをみようとつめかけて来た。」「萩の独楽廻し」(『永松定作品集』五月書房より)


娯楽の少ない時分、独楽廻し等の芸は大変人気があり、永松の家にも多くの見物客がつめかけ、小田森の見事な独楽廻しに、拍手大喝采だったようです。

永松の作品には萩の町に暮らす人々の様子が細やかに描かれており、往時を偲ばせ、萩の生活文化を知ることができます。

 

「うすうすと紺のぼりたる師走空」(飯田龍太)

暗い夜の空から徐々に青空に変わる瞬間。冷たくも澄み切った空気を吸い、凛とした気持ちになれる句です。師走に入るとなんとなく気忙しいですが、少しずつ準備を整え、新年を迎えたいものです。

 

♪お正月にはたこあげてこまをまわしてあそびましょう♪という日本のお正月の風景は近年ではあまり見かけることはなくなりましたが、♪早く来い来いお正月♪

良い新年をお迎えください。


【参考図書】

『やまぐちの文学者たち 追補版』 やまぐち文学回廊構想推進協議会/編  

※当館所蔵あり

『永松定作品集』 永松 定/著 ※当館所蔵あり 館内閲覧

『作家たちの文章で綴る 萩のまち文学散歩』 萩図書館「文学散歩」制作委員会/編 

※当館所蔵あり。 カウンターにて販売中(300円)


2022年12月5日月曜日

バリアフリー映画上映会

 12月3日~9日の1週間は障がい者週間です。

この障がい者週間に合わせ、障がいへの関心と理解を深めてもらうため

萩図書館では、毎年バリアフリー映画を上映しています☺🎬


バリアフリー映画とは音声ガイドや日本語字幕の付いた映画で

視覚や聴覚に障害のある方も一緒に映画を楽しめるよう作られた映画です


今年の作品は『すみっコぐらし~とびだす絵本とひみつのコ~』でした。

ある日、絵本の中に迷い込んだすみっコたちが

迷子のひよこの居場所を一緒に探す 大冒険を描いた物語です。








相手を思いやる気持ちを持つことの素晴らしさが伝わる映画でした❤

今回は音声ガイドの付いていない作品でしたが

字幕があることで聞き取りずらかった部分も確認することができました。

参加された子ども達からは楽しかった♪

大人の方からは心温まる作品だった*✧と感想をいただけました☺

当日は会場で、障がい者資料の展示も行い

上映後、多くの方が手に取ってくださいました。



◆点字図書:指で読む本 

◆LLブック:やさしく読める本

◆デイジー図書:耳で聴く本 

◆マルティメディアデイジー:目と耳で読む本



この他、バリアフリーコーナーにも障がい者資料を揃えています。








障がいのある方もない方も同じように楽しく読書をしていただけるよう

これからも工夫をしながらサービスをさせていただきます☺


ご参加くださった皆様ありがとうございました‼







































2022年12月3日土曜日

令和4年度 人権に関する図書コーナー

12月4日から10日までは、人権週間です。

人権に関する図書コーナーを設置しています✨






高齢者の人権、子どもの人権、女性の人権など、
さまざまなテーマで幅広く集めています🍀

この機会にぜひ、お手に取ってご覧ください。






2022年11月18日金曜日

萩のまちと文学⑮ 藤島 亥治郎

シリーズ「萩のまちと文学」。

第15回目は、城下町を愛した建築界の大御所、

藤島亥治郎をとりあげます。

 

藤島亥治郎は、岩手県出身の建築史家です。

東京大学工学部を卒業後、東京大学名誉教授を務め、日本建築学会名誉会員や文化庁文化財保護審議会専門委員を歴任しました。

昭和43年に日本芸術院恩賜賞、63年に日本建築学会大賞を受賞しています。

 

そんな藤島亥治郎が、萩の城下町を訪れたときの様子が、

昭和53年発行の著書 『城下町探訪(一)』に書き記されています。

 

「古びた白漆喰に傷が付いたり、半ばはげ落ちたりしたものもあれば、

 漆喰がすっかりはげ落ちて、

 赤黄色い粘土壁がざらざらした地肌をあらわしたもの、

 それがひび割れて一部欠け落ち、瓦屋根も傾いたものもあれば、

 中にはきれいに塗り替えられたものもあれば、

 ほとんど崩れて垣の内がのぞかれるのもあり、

 中には平瓦の間に粘土をつめて重ねたものもあり、

 それぞれに特色のある美しさが、私たちに笑いかけたり、歎いたり、

 おつにすましたり、えらがったりしてくれる。

 私たちも、それと話し合いながら歩みを続ける。」



個性的で美しい土塀たちに囲まれ、そのそれぞれが人々に語りかけ、

何かを伝えてくるかのような萩のまち。

 

萩市は、昭和51年に堀内地区と平安古地区、平成13年に浜崎、平成23年に佐々並市(ささなみいち)が、国選定重要伝統的建造物群保存地区になりました。

 

ひとつの市区町村に所在する伝建地区の数は、京都市、金沢市と並び

全国で最多となっています。



「武家の屋敷構えの並んだ小路をどことなく散策することほど、

 萩らしい雰囲気にひたるものはないだろう。

 急ぐことはない。どことなく、好きな道をあるけばよいのである。」


江戸時代の面影が色濃く残る城下町を歩いていると、まるでタイムスリップしているかのような不思議な感覚を味わうことができます。


歴史の情緒あふれる萩のまちを散策しながら、ゆっくりとまち並みをながめ、萩らしい雰囲気にひたってみてはいかがでしょうか。



【 参考文献 】

『城下町探訪(一)』 藤島亥治郎/著 千人社/発行 ※当館所蔵あり(館内閲覧のみ)

『作家たちの文章で綴る 萩のまち文学散歩』 

萩図書館「文学散歩」制作委員会/編集 萩まちじゅう博物館出版委員会/発行 

※当館所蔵あり カウンターにて発売中



2022年11月15日火曜日

今年も古本市を開催しました!!

毎年ご好評をいただいているの古本市を
今年も開催しました📚✨


午前中、少し雨が降りましたが、早い時間から、
多くの方が足を運んでくださいました。

古本市では、古本はもちろん、CD、コミック、
ビデオやカセット、レコードといった懐かしいものまで
販売しました。

午後にはあたたかい日差しに恵まれ、



レコードから流れる音楽や、
コーヒー・ケーキなどの販売も行われる中、
ゆったりとご覧いただくことができました♪


移動図書館わくわく号の展示の横では
早くから列が…!

毎年人気のある付録販売にも、
沢山の方にご参加いただきました。
参加券配布へのご協力、ありがとうございました。


1冊10円から販売のある古本市。
掘り出し物には出会えましたでしょうか( •̀ ω •́ )✧

ご協力いただいた皆さまのおかげで、
今年の古本市も無事に終了することができました。
ありがとうございました。

来年も開催を予定しておりますので、
ぜひお立ち寄りください(❁´◡`❁)

2022年11月9日水曜日

第5回ものづくりを楽しもう 作品展示

 萩図書館では、11月1日より、
2階にて「第5回ものづくりを楽しもう―図書館の本を参考にして―」
作品展示を開始しました😊



萩図書館にある本を参考にして、利用者の方々が作られた作品です🎨

陶芸品や手芸品など、個性あふれる力作50点が勢ぞろい(^^)/

見応えのある展示です✨



作品の参考にされた図書も展示しています。

また、今年は参考にされた本の表紙の写真を、

作品名の隣に掲示しています。


貸出も可能なので、みなさんもぜひものづくりに参加されてみませんか?

ご来場された方は、入口にある「ものづくりの木」に
シールを貼って木に実をつけてください!

展示は11月19日までです(*^-^*)
ご来場をお待ちしております!


2022年11月2日水曜日

展示「紅白本合戦」

 11月に入りだんだんと寒さを感じることが多くなりました。

季節も気持ちも年末を感じ始める今日この頃。


萩図書館では一足早く、紅白歌合戦ならぬ

「紅白本合戦」 の展示が始まりました。




タイトルに「赤」「紅」「白」がつく本

背や表紙が「赤」「白」の本など

職員がおすすめする出場本たちです。


こちらは華やかに目を引く「紅組」の出場本たち


凛とした強さを感じさせる「白組」の出場本たち


今日の気分で選んでもよし😀

表紙でビビッと来たものを選んでもよし😁


色の強さから若干、紅組有利な感じもしますが・・・💦


勝敗は読んだあなたの感想次第です。

1月末までの展示です。

どうぞお楽しみください。