善福寺近くの藍場川畔に
「家ごとに 池を構へて 水を引き 朝夕清き 藍場川流る」
という歌碑が建っています。
これは、萩市出身の歌人 竹内 八郎 (たけうち はちろう)の歌です。
竹内八郎は、明治32(1899)年に浜崎で生まれ、同志社大学在学中、
橋田東聲によって創刊された『覇王樹』に入り、
橋田東聲・臼井大翼の指導を受けました。
大学卒業後は銀行勤務を経て、山口県立萩商業学校の教員となり、
県内で最初の歌誌『白梅』や郷土史『水可美』『文芸風土』
などに参加しました。
その後、歌誌『あらつち』を創刊した岩松文彌の急逝の後を継ぎ、
その発展に尽力しました。
歌碑にある歌は、昭和41(1966)年の作で、
歌碑は昭和48(1973)年に建立され、
竹内八郎はその翌年74歳で亡くなりました。
「草あらく水涸れし大照院に来て寒き冬日をこひつつゐたり」
「萩橋をわが渡るとき田床嶺に月の出前の光ぞ澄める」
「指月嶺の夕日に歌ひし感傷も四十年経ていま有難し」
このほかにも自然豊かな美しい萩の景色を詠んだ歌がたくさんあります。
暖かな風が肌に触れ、
鳥のさえずりや草花の芽吹きを感じられる春が訪れ、
散策に良い季節になりました。
藍場川の流れを見ながら、
桜の下にある歌碑や萩の町を歩いてみませんか?
【主な著作】
歌集『樹空』樹空出版会/発行 ※当館所蔵あり
『樹空抄除草庵雑記』竹内八郎先生歌碑建設会/発行 ※当館所蔵あり
『あらつち十周年記念歌集』(昭和35年)
【参考図書】
『やまぐちの文学者たち』
やまぐち文学回廊構想推進協議会/発行・編集 ※当館所蔵あり
『作家たちの文章で綴る 萩のまち文学散歩』
萩図書館「文学散歩」制作委員会/編
萩まちじゅう博物館出版委員会/発行
※当館所蔵あり カウンターにて販売中